犬の腎移植

 26頭の犬の腎移植後の結果についての報告によると、生存期間の中央値は24日で、15日生存する割合は50%で、100日生存する割合は36%とのことでした。また死因として、血栓塞栓症に起因するものが8頭、感染に起因するものが6頭、拒絶反応に起因するものが1頭で、手術時の年齢が高齢な犬の方が死亡する可能性が高いそうです。
 腎臓は代謝性老廃物の排泄、水や酸、塩基、電解質の調節、骨髄での赤血球の産生を働きかける内分泌作用などがあり、腎機能が低下した場合、代謝性老廃物の貯留、多飲多尿、代謝性アシドーシス、再生不良性貧血などが引き起こされます。食事管理や投薬で腎臓の負担を軽減することはできますが、根本的な治療となると腎移植になります。しかし、犬や猫では一般的ではありません。しかも犬の場合は、もし手術を行ったとしても生存期間は短いようです。
 猫でも腎移植は可能で、術後生存率は70~85%、なかには数年生存するものもいるといわれています。

参考文献
Veterinary Surgery
Volume 41, Issue 3, pages 316-327, April 2012